LOST OF MIND

 自分は精神的に不安定になるとお酒に走る傾向がある。いちばん酷かったときだと、仕事から帰ってきたらまずウイスキーを瓶ごとラッパ飲みし、休みの日も午前中から飲酒していた。どこかに飲みに出かけるのではなく、自分の部屋で、淡々と黙々と飲んでいた。お酒を飲むことで少しでも気分を紛らわせたい、嫌なことから目を背けたいという欲求にとても正直に対応していた。

 でも、そういった精神状態のときに自分が心の底で思っていたことは、「自分を失いたい」ということだったように思う。自分を失いたい、もっと言えば、このまま破滅してしまいたいという感覚が常にあった。必死に働いてそのせいで蓄積されたストレスをその仕事で得たお金でお酒を買って紛らわす。自分はいったい何のために働いているのだろうとよく思ったものだ。自分で自分を傷つけて、その傷の痛みを必死でごまかそうとしているみたいだった。

 今でもそういう状態になることがたまにある。徹底的に堕ちてしまいたいと願う自分と、必死に理性を保とうとする自分。本当の自分はどちらなのだろうかと、ときどき怖くなる。