空回る世界

 いつもコンビニで弁当を買うときは、「あ、お箸いらないです」と断るようにしている(喋り出しに「あ、」って言うのやめたい)。それでもたまに、僕の目を盗んでこっそりとレジ袋に忍ばせてくる店員さんがいたり、ぼーっとしていて断るのを忘れてしまうことがある。家に着いて、レジ袋の中に割り箸やスプーンを見つけると「ああしまった」と思う。

 我が家にはすでに、同じようにコンビニやスーパーで入手してきた割り箸やスプーンなんかがいくつかストックしてある。そのほとんどはいつからそこに入っているのかすら分からないものばかりだが、何かあったときのために少しだけ手元に残してあるのだ。そのため、意図せず持ち帰ってしまった割り箸などは、そのままゴミ箱に捨ててしまうことになる。受け取って、封を開けられることもなくゴミ箱に捨てられる割り箸。

 僕は想像する。どこかの工場で、同じ作業服を着たおばちゃんたちが作業する姿を。きっと今では、全自動の機械で作っているのだろうけれど、僕が想像するのはいつも工場で黙々と割り箸作りに関わる何らかの作業を行うおばちゃんたちの姿だ(不思議とおじさんや若者は登場しない)。

 ゴミ箱に捨てられた、さっき受け取ったばかりの割り箸を見て、何かが決定的に間違っていると感じる。でも、何がどう間違っているのかを説明することができない。今の自分のように、世界が空回っているようだ。